不動産物件で見る、事業のビジネスモデル
飲食店の開業と廃業が多い。
今や居ぬき物件を新規空き物件として賃貸に出すのは常識で、ある特定の建物のテナントだけが何度も何度も変わるという光景は良く見られる。
隣町でもつい最近までイタリヤピザ店だったところがあっという間に閉店し、店内の装飾やデザインはそのまま、またピザ専用の石焼釜も全くそのままにされており賃貸に出されている。
割としっかりとした作りでオーナーの想いが感じられたが、事業そのものはうまくいかなかったのだろう。
"飲食店"に限っていえば、経営に関しては立地が命とする見方があるものの、隠れ家的に開業し大繁盛させる店もあって、一概には何が正しいとはいえないのかもしれない。
一方で、場所や見た目を選ばないような業種もあるという事に気付いた。
古びたビルの1Fに看板も出ていないような会社がポツンとあるのを先日見かけた。
昼間は毎日電気がついているし、オフィスの中は外から垣間見ることは出来ないが事務所の前にバイクが何台か停まっているので、そこで何らかの事業が行われていることだけは分かる。
調べてみると、ポスティングを代行する会社だった。
ポスティングとは
ポスティングは効果的な販促・広告手段
ポスティングとは、究極のマンパワー「人間力」によりさまざまな販促物(チラシ・試供品など)をダイレクトに、
そして確実に各家庭に配布する非常に効率的で温かな広告伝達手段です。
また、ターゲットを絞って配布することも可能ですから、他媒体と比べても無駄の少ない販促・広告手段であるといえます。
様々な企業から販促物の代行を受託して一般ユーザー向けにマンパワーで配達して回るという、これ以上ないくらいのシンプルな事業モデル。
調べてみると僕が街で見かけたポスティング代行会社は配達するバイトの方を含めて10名足らずの人数ながら年商は1億円以上。
会社は月曜から金曜までで残業等は殆ど無く、事業は概ねうまくいっているようだ。
繰り返すが事務所の前には看板すら出ていないし、お世辞にもビルそのもがきれいだとはいえない。
事務所の場所も決して好立地でもビジネス街でもないが、だがしかし事業はちゃんと成り立っている。
しかも、ネット広告が台頭しポスティングというような誰も目にしないようなチラシ広告を代行する事業は衰退していくように思えるし、斜陽産業に位置づけられるだろうが、きちんと利益も出せるくらいのビジネスモデルがそこにはあって、決してはた目には分からない。
不動産物件やテナント情報を違う面から見るだけで、どの立地のどの物件が出入りが激しいか、また繁盛しているのか分かるし一方で、驚くような場所でもちゃんと事業を軌道に乗せているケースもあるから面白い。
上述したイタリヤピザ店も、飲食業以外の事業であればうまくいくこともあったかもしれない。(どうしてもピザ屋をやりたかったのだろうが)
この記事によると、「その場所にどんなお客さんがいるのか」というところがポイントのようだ。
加えて、
"その場所ならどんな事業が利益で出せるのか"
簡単ではないが、そういった視点を持つことができれば、また違った展開が見込めるだろう。
いずれにしろ不動産を見ていると様々な事業モデルが垣間見えるのでそれだけでも面白い。