どん底から這い上がっていくストーリーに弱い
ある日突然40億円の借金を背負う――それでも人生はなんとかなる
巷では話題を呼んでいるようで、僕も読んだ。
物語の主人公の湯澤氏は、高学歴のエリートサラリーマンで人もうらやむような経歴を辿ってきたが、自身の父親の死去、その事業と同時に借金まで受け継ぐこととなる。
それまでは順風満帆すぎるほどの人生を送っていたというから何が起きるか分からない。
とはいえ、元々は恵まれた環境で育ってきた湯澤氏に対して共感できない人も一部いるようで、だがそれを差し引いてもなお、40億という借金のボリュームは手応えがある、いやそれどころか想像もつかない世界だ。
他にも、例えばオウケイウェイブの創業者である、兼元氏のホームレス時代の話はあまりにも有名だ。
こういう、人生の底から這い上がった人の話に僕は弱い、恐らく多くの人間がそうだ。
日本は成功者に対してやっかみや嫉妬が物凄い国らしいが、これが、貧困や借金、その他の人生の苦難を乗り越えて大成した人間だと、 "特別にゆるす" みたいなところがあって、割と好感的に受け入れられるようだ。
はたからみて何の苦労も無く、例えば親から受け継いだ事業をそのまま展開していく二代目以降の経営者には素直に賞賛出来ないのかもしれない。
そして個人的に思うのは、艱難辛苦を乗越えた、例えば徒手空拳で成上った人物を見ると、 "自分にもチャンスがある" という気になるところが大きいと感じる。
チャンスがあるのは確かだろう、恐らく誰にでもある、というのは本当だ。
問題なのは、誰にでもあるという前提でそれを生かせなかった場合だ。
人生を盛り返すのは難しい、最後まで捨てずに勝負する、そういう姿勢がやはり大事であり、それを押し通してこそ、また新たなストーリーが生まれるのだろう。