日本の外食産業は面白い
最近でいえば、ペッパーフードサービス創業者のいきなりステーキが人気だ。
創業者は、 一瀬邦夫氏。
元々は母親と二人暮らし、あまり裕福ではなかったようで、一瀬邦夫氏は高卒後すぐに
ホテルの料理部門で働き、そのキャリアをスタートさせた。
20代後半に独立し、洋食屋を開業したが、それが今のペッパーフードサービスの前身となっている。
そして、いきなりステーキ。
これがかなりヒットしているようで、 一瀬邦夫氏も様々なメディアに登場するようになった。
その語り口はとても軽快で、見た目には70代に思えない。
僕もいきなりステーキを食べてきたが、価格以上に味は良い。
面白いのは、いきなりステーキは「肉マイレージカード」なるものを発行していて、食べた肉の量で、カードのランクがアップしていき、現金もチャージできるという面白い発想。
メンバーズカードからスタートし、
ゴールドカード → プラチナカード → ダイヤモンドカードといったランク順。
ランクアップを目指し、いきなりステーキで肉を食べ続ける顧客も多い。
一瀬邦夫氏自身も100キロを目指し、せっせとステーキを食べ続けているそうだ。
何にしても外食産業は夢があっていい。
"ブラック企業"としてかなり叩かれ、業績不振になっていたワタミも、新しいブランドである"ミライザカ"の業績はなかなか好調のようだ。
外食産業そのもののマーケットは縮まる一方で、常に人材不足、給与も低く、いわゆる3Kのイメージもなかなか払拭されないから、若い人は、どうしても業界で働きたがらない傾向にある。
今や外国人従業員が片言の日本語で接客するのは当たり前の風景となった。
その外国人従業員にしても、これまで中国系が多かったように感じられるが、恐らく彼等は豊かになってしまったからなのか以前よりも見かけなくなり、今やタイ、ネパールといったこれまで見かけなかった国の人々も日本の外食産業に従事している。
だが一方で、世界中の職が集まるアメリカから日本の築地で寿司職人のもとで修業をし、NYの一角で店舗を構える若手経営者も出てきている。
それだけ日本の外食産業は味も価格も店のレベルも学べることが多いという事だろう。
また感じるのは、これまで非常識とされていた取組みが、今や業界全体を丸ごと変えてしまうくらいのインパクトを持っているので、頭打ちだったマーケットそのものをぶちやぶり、新しいマーケットの創出に繋がっていること。
例えば、今や立ち食いの飲食店は一つの業態として定着しつつあるが、ほんの数年前までは、「お客は立って食事をしない」というのが定説だった。
日本の人口推移と経済力、そして舌の肥えた人々の味覚に合わせて、今後も新しいマーケットが生まれてくると思う。
外食産業は参入障壁が低く、学が無い人間でも開業は出来る。
だからこそ競争は激化し、この国土の狭い日本に数多くの飲食店がひしめきあっているが、その分だけ、世界に名だたる名店が生まれる確率も多いかもしれない。
ちなみにペッパーフードサービスは、いきなりステーキをNYで出店することを決め、その株価も堅調に上昇している。