パチンコ店はうんこをするところではない
僕の職場の近くにパチンコ店がある。
お昼に食事に出る時は周辺に飲食店がそこまで多くないこともあり
パチンコ店に併設されている飲食店で食事をすることが多い。
料金も500-700円くらいなので、サラリーマンの財布にも優しく値段の割には旨い。
パチンコ店に併設されているので、パチスロ台をぬう様にして飲食店へ入るのだが、
何度か通ううちに気付いたことがある。
まず、ド真昼間からパチンコに興じているくらいだから、彼等はちょっと変わっている。
目がギロついているし、他人への配慮が一切ない。
配慮が無いというのは、例えば僕がエレベーターに乗った時。
その飲食店は1Fにあり、建物の構造上3Fからパチンコ店に入店し、エレベーターで降りていくのだが、一緒にエレベーターに乗った人でこれまで、ボタンを押して待ってくれる人は一人もいなかった。
誰もが我先に乗ろうとするし、我先に降りようとする。
パチンコがしたくてうずうずし、ボタンを押すどころではないのだろう。
この前もエレベーターに乗車する時、僕の前に3名ほど男性が先に乗り込み、遅れて僕が乗ろうとしたその瞬間にエレベーターの扉が閉まり、僕は間に挟まってかなり痛い思いをした。
もちろんその間、彼等の誰一人として、ボタンを押したり、何か声をかけたりはしてくれなかった。
そして降りる時は全員が僕より先に降りた。
最も衝撃的だったのは、食事後にちょっと尿をもよおし、トイレに入ったときだ。
トイレルームの中央の床に何やら、茶色い異物が "でん" と、陣取っていた。
最初はそれが何の物体なのか分からず、気にもせずに小便コーナーへと立ち寄ったが、
僕の次に入ってきた男性が、「え!え!」と、その異物を指さして僕に笑いかけてきた。
それでやっと気づいたのだが、それは人間の大便だった。
しかも、ご丁寧に誰かが靴で踏んだ後まであった。
僕の次に入ってきた男性は無言で僕に笑いかけ、用を足してそのまま出ていったため
僕が大便をした訳ではない、という訂正をする暇も無かった。
その男性が出て行ったあと、扉のドアが少し開けっ放しになっており、その外に
店員二人がいる姿を見かけたが、どちらも大便があることを分かっている様子ではあるものの、ちっとも慌てるそぶりがなく、かといって飛んできて掃除をするわけでもなかった。
つまりこれは、日常茶飯事ということなのだ。
大便をした犯人は勿論分からず仕舞いだが、用を足している時に人が入ってきたらどうするつもりだったのだろうか。
僕はパチンコ含むギャンブルを一切やらないので、この大便事件はかなり衝撃的だった。
後になって知人にその事を話すと、パチンコトイレで便器が壊れたり、ドアが破壊されたり大便や小便をまき散らしたり、そういった事をする輩は結構多いようだ。
どうやら、負けて大金を失った客が、店に仕返しをするためにやっているらしい。
「たまに首つり自殺なんかもあったりするよ」
なんてことないよ、こんなこと、という様子で知人は話したが、僕にとっては驚き以外の何ものでもない。
いずれにしろ、話を戻すと、平日のそれもド真昼間からパチンコに興じる輩は、何かしら頭のねじが外れてしまっているのかもしれない、頭の中はパチンコで一杯、他には何も興味が無いはず。
先日も食事をして戻る時にホールを歩いていると、見慣れた作業着姿の男性を見かけた。
よく見ると、僕の会社が入っているビルの清掃をしている係の男性で、作業着のままでパチンコに興じていた。
それもお昼の13時過ぎ、凄い光景だった。
あの真剣なまなざしで仕事や人生に取組んでいれば、彼等の人生もまた違ったものには
なるのだろう。
僕には分からない世界だが、少なくともパチンコ店はうんこをする場所ではない。
その点だけは確かだ。