あなたの評価は他人がするものですとうそぶく人事
勤め先の会社の人事と僕の異動の件で言い争いになったことがある。
これまでは、大人同士の丁寧かつ柔らかい口調でやりとりをしていたのだが、のらりくらりとした言い回しと、自分を魅せることだけには長けているその人種に嫌気が指し
僕からやる気があるのかどうかも含めて人事にケンカをふっかけた格好だ。
すると人事担当者が
「○○さん(僕の名前)、あなたの評価は他人がするものなのですよ」
と一言。
カチンときた僕は、自分が所属しているその部署で、数字で実績を誰もが目に見える形で出していること、そして社長からも直々にセールス関連の賞を授与されたことを引き合いに出して言い返した。
僕は、人事異動が出来ない点について確かに不満だが、それよりなによりこの会社の人事部の人間が、リストラクチャリングの対象になっているにもかかわらず自身の役割を果たすどころか最低水準の仕事すらしない、その怠慢ぶりに腹が立って言い返したのだ。
あまりにも腹が立ったので、当時の直轄の部長に直接、その事を話したところ、
「気持ちは分かるがあんな何の権限も無い奴に文句言ったってしょうがないだろ、言う人間を間違えてる」
と一言。
確かに、と、的を得た僕はそれから人事に文句を言うのを止めた。
人事の仕事は今の時代、求められる能力が多岐にわたり、簡単に言うと、これまでのようにハード部分(例えば人材の福利厚生面の調整など)よりも、ソフト部分でその能力を発揮しないと意味がない。
ハード部分は今や外注すれば済むことで、そうなると、彼等はソフト部分で何かしら仕事を得ないと、ただの給料ドロボーだ。
その意識がまるでない能無し集団のくせに(全ての人事の人がそうではありませんがという前提で)、僕に説教をしたのが腹が立ったのだ。
とはいえ、暖簾に腕押し、豆腐に釘、馬耳東風、何でもいいが言っても意味の無い連中このよに一定数存在するので、言わない、と諦めると腹も立たなくなった。
しかし、この
「あなたの評価は他人がするものです」
という、なんとも気持ちの悪い言葉。
こういうセリフを吐く人間ほど、残念ながら仕事が出来ない。
それに、この他人の評価ほど、うつろいやすく、いい加減なものもない。
例えば昨年、顧客へのサービス向上を目的としてある業務が始まったが、僕は、その業務が評価の対象にならないことや、やっても全く意味が無いことが分かっていたので(顧客の反応と、それが会社に反映されていないため)、一切その業務をしなかった、ゼロだ。
直属の上司にどんなにこき下ろされてもやらなかった。
だがそれ以外の、セールスに関しては誰よりも取組み、実際に数字にも結果を出した。(その方が会社にもお金になるので)
そして今年、サービス向上業務が必須になり、昇給等の対象になったため、僕は不本意ながらそれを開始し、もともと僕にとっては簡単な業務でもあったため、すぐに数字にその結果が表れだした。
すると、これまでさんざん僕をこき下ろしていた上司が
素晴らしい、ここまでやった人は見たことが無い
能ある鷹は爪を隠すというのは本当だ
常に目標を持ってぶらぶらぶら
等など。
手のひらを返したように称賛しだした、これには呆れて何も言えなかった。
上司が喜んだのは僕が結果を出したからではなくて、僕の出した数字が自分の成績になるからだ。
僕が頑張ると、上司が給与が上がる仕組みはおかしくないだろうか?
勤め先には中国人も働いていて、たまにメールで話したりするのだが、日本人のこういうところはやりにくいだろうな、という雰囲気を彼等からも感じる。
いずれにしろ、「評価は他人がする」時代は終わったので、自分の価値基準をしっかりもって、自分の足で歩くことそれだけが、この日本の閉塞感を打破し、自分の人生を生きる術だと思う。