村上龍と坂本龍一と見城徹の対談

Abema TVの「徹の部屋」という番組。

ゲストを招いて見城徹氏の進行をもとにトークを行うものだが。

昨夜は、僕の好きな村上龍と、これまた好きな坂本龍一がゲストとして登場した。

何か一つのテーマを決めて話すというようなものではなく、台本も観たところ無いようで行き当たりばったりのトークを生放送で展開していた。

 

 

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主に見城徹氏と村上龍氏との出会いや、2人で飲んでいたころの話、そしてやはり
見城徹氏と坂本龍一氏との若かりし頃の付き合いや飲み明かした話をあてもなく続けていたのだが、単純に面白かった。

 

彼らの年齢は殆ど同じで、(村上龍氏64歳、坂本龍一氏64歳、見城徹氏65歳)日本がまだまだイケイケで元気があった面白い時代に世に出てきた点が共通している。

 


見城徹氏が坂本龍一氏に、「俺は坂本が何で"絶対、東京オリンピックでなんか演奏をしない!"って言ってるか分かった。福島も含めてまだまだ苦しんでいる人が多くいる中で、"何がオリンピックだ、他にもやること沢山あるだろ"と、そういう想いでいたんだよな」と話し、坂本龍一氏も表立ってはそういう発言はしないものの、心に秘めた思いを見城氏が代弁したことで、そこには温かい空気が流れた。

 

 

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他にも村上龍氏が限りなく透明に近いブルーで売れて、その印税が「1億8,000万円くらいあっただろ」と見城氏が話して、村上龍氏が「覚えていない」といった軽妙なやりとりが行われたり、特に急激に盛り上がるシーンはないが、落ち着いて楽しめた。

 

 

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僕は村上龍氏が好きなので、彼が言った言葉で、「今の若者はかわいそうだと思う。選択肢が少ないから。就職先も無いし、やっと就職しても給料が上がる保証なんて何もない。僕らの時はどんなに貧しくてもどこかしら就職先があって、最初は給料が少なくても後になって必ず給料は上がった。給料が上がるっていうのは、希望そのものだから」というのが印象的で、見城氏が他の話題に振ってしまいその話は広がることなく終わった。

 

ここ数年、なぜ僕も含め若い世代が思うように生きられず、加えて行き辛さを常に感じているのか、という点に答えが出せずにいたところを、村上龍氏が的確に、「時代の断絶に巻き込まれている」と著書で表現した時から彼が好きになった。

 

 

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僕は見城徹氏を知らなかったのだが、後になって調べてみると、幻冬舎を立ち上げて上場までに導いたやり手経営者であることが分かった。
業界では有名なのだろう、だからこのような番組も成り立つのだろうが、それぞれの業界の一流が集まった、そのトーク番組だったわけで。

 

この手の番組を観る時は、自分の人生と重ね合わせて考えたりするのが好きなのだが、あまりに生まれた時代と背景とその他のバックボーン等が違いすぎて自身の人生と結びつけることが、今回は出来なかった。

 

そういう意味では、どこか遠い世界の人間の、映画を観せられているようだった。

僕らの世代は、多くの人が彼等のように人生を有利に生きることが出来ないのだろうか。