HIV の感染率は低いのか高いのか

東南アジアの幾つかの国を旅し、当然、その国の風俗を利用することもあった。

ある時、性風俗サービスを提供する店の女性とコンドームを装着せずに性行為に及んでしまったことがある。

 

僕は、東南アジアで性風俗サービスを利用することがどういう意味を持つのかその時は殆ど分かっていなくて、行為が終了し、朝起きて、本能ではなく理性が戻り、冷静になってみたとき、自分のしたことが取り返しのつかないものであることを知り、突如、物凄い恐怖に襲われた。

 

その日は、朝から雨で、ホテルから出ることはそもそも出来なかったが、僕はほぼ一日中ずっと、ずっと部屋から出られずにいた。

 

恐怖心で心が覆われていた、何に対しての恐怖かというと、HIVだ。

 

www.hivkensa.com

 

HIV患者に会って、直接話を聞いたことはある。

 

その時は、どこか遠い国の、自分とは無関係の人間の話、くらいにとらえていたのかもしれないが、これが、かなりの現実感を持って自分自身に襲い掛かってくると思うと、得体のしれない恐怖がひっきりなしにおとずれ、胸がかきむしられた。

 

どうしてあんなことをしたのか

そもそもなぜ性風俗サービスを利用したのか

東南アジアなんかいくんじゃなかった

 

どんなに後悔してももう遅い。

 

確かに、HIVの感染率は低いとされている。

だが、感染率がゼロなわけではない。

 

上記のサイトによると、

 

膣を使ったセックス(男性側) 0.05%

 

とあって、「え、とっても低い!安心だ」と一見なりそうなものだが、HIV患者が多いとされる東南アジアでコンドーム無しに性行為に及んでしまうと、やはり動揺してしまう。

 

エイズその実像

 

top10.sakura.ne.jp

 

ネット上で様々な情報が氾濫するが、どれも正確性に乏しく、確固たる裏付けがあるものは少ない。

 

「コンドームをしたって100%防げない」

 

という見解もあれば、

 

「欧米諸国ではコンドームが完全なHIV感染予防の有効手段としては常識」

 

という見解もあり、そもそも僕はコンドーム無しで性行為をしているのだから、これのも該当しない。

 

 

それに、コンドームをしない性行為で回数が少ないにもかからわず感染したケースも実際にあるようで、こんなブログを見つけた。

 

ameblo.jp

 

そして、信頼できる医師が公表している以下の内容もある。

 

 

 

www.stellamate-clinic.org

 

HIVの感染力は本当に弱いのか?
 HIVは感染力が弱くて少しくらいの性的接触では感染しない、と言われることがあります。果たしてこれは本当でしょうか。
 たしかに「感染力が弱い」とするデータはあります。

医療者の針刺し事故(感染患者に使った注射針などを、医療者が誤って自分の指などに刺してしまう事故)を対象とした有名な研究があり、それによれば針刺しをしたときにB型肝炎ウイルス(HBV)なら30%、C型肝炎ウイルスなら3%、HIVなら0.3%が感染する、というのです。

この数字はあまりにも有名で、医療者でなくとも知っている人がいるほどです。

しかし私はこのデータを過信すべきでないと思っています。

元々の感染患者さんが持っていたウイルス量がどの程度かにより、刺してしまった後の感染率はまったく異なりますからいつも0.3%とは言えませんし、実際に患者さんをみているとささいな接触で感染している人もいるからです。
ここで実際に私がみてきた症例を紹介しましょう(本人が特定されないように若干のアレンジを加えています)。


【症例1】30代男性(T氏)

 T氏が過去に交際し、エイズで他界した女性は、触れられたくない過去を持っていました。

不特定多数の男性に体を売っていた経験です。

実はT氏と彼女の関係も最初はお金を介した関係でした。

しかし、T氏は何度か彼女と会ううちに本気で恋に落ちました。

底なしの明るさをもつ彼女と一緒にいるとイヤなことがすべて忘れられた……、とT氏は回想します。

失業中のT氏と彼女は安アパートで一緒に暮らすようになり、何カ月もの間ほとんど外出もせず、酒とセックスの堕落した日々を過ごしました。

そのうち、彼女の体調が悪化し、どんどんやせほそり、全身の皮膚にかゆみを伴うできものが現れてきました。

まったく食事がとれなくなって、ようやく病院に行くと診断はHIV感染症

このときT氏は彼女とともに死ぬことを覚悟したそうです。

しかしT氏の検査結果はHIV陰性。

これだけ濃密な接触をしていても感染していなかったのです。

この話だけを聞くと、HIVは簡単に感染しない、と思いたくなります。
次は逆の例を紹介します。

 

【症例2】30代男性(H氏)
高熱と咽頭(いんとう)痛で近くのクリニックを受診し、投薬を受けたものの一向に治らないことから太融寺町谷口医院を受診。

受診時には皮疹も出現していました。

問診から2週間前まで東南アジアのある国に出張に行っていたことが分かりました。

こうなると日本にはあまりない感染症を疑うことになります。

デング熱マラリア、腸チフス、あるいは麻疹や風疹も考えなければなりません。

HIVも感染初期には皮疹が出現することがあります。

現地で危険な性行為があったか、という私の質問に対するH氏の答えは「ないことはないが安全な行為」と言います。

医師はときに患者さんの言葉をうのみにしません。

許可を得た上でHIV抗体検査を実施すると弱陽性。

後日精密検査で感染が確定しました。

診断は「急性HIV感染症」です。

改めて問診をおこなうと、現地のセックスワーカーとお金を介した関係があり、コンドームなしのいわゆるオーラルセックスがあったと言います。

一般にオーラルセックスでのHIV感染の可能性は極めて低い、と言われています。

それはそうであったとしても、当然0%ではないのです。

 

 

小さい確率でもゼロではない。

感染してしまえば100%であり、本来は、「100回に〇回の確率で...」という類の話ではない、誰にも分からないことを無理矢理、確率にしただけなのだ。

 

そうして、このあと、僕はHIVノイローゼという言葉を知ることになる。