イギリスは海外からの移住者にやさしいわけではない
具体的な話は殆ど決まらず、交渉は難航しているという点は否めない。
僕はこの手の分野に詳しい訳ではないが、そもそも、イギリスへ移住することはどういうことなのだろうか。
これまでイギリスに留学する人間が周りにいて、そのVISA申請で四苦八苦しているのを何度か目にしている。
耳にした中でのVISA申請の条件としては、
日本の金融機関の口座を持っていることを証明すること
その金融機関に預け入れをしている金額と、過去28日間の取引記録を英字で記載したものを発行すること
また、現地で生活するには申し分ない金額を証明する意味でも、一定残高を保有している必要もあること
などなど、様々なケースがあった。
無論、滞在する期間やその他の条件によって異なるところもあるのだろうが、程度の差こそあれ簡単ではないことは読み取れる。
また、先日行われたサッカー日本代表対オーストラリア代表選で決定打となる2点目を決めた井手口選手。
イングランド2部の古豪・リーズが正式に井手口選手にオファーを出したことがニュースとなっているが、上記の記事でもイギリスに渡るためのハードルは、単に彼の技術等だけでなく、その報酬額なども左右されることが取り上げられている。
...ただ英国でプレーする際に必要な労働許可証取得には「移籍金1000万ポンド(約14億2000万円)以上の優秀な選手」などの厳しい審査がある。
僕はサッカーファンでイングランドのプレミアリーグのあの洗練された、かつアグレッシブな最高峰のフットボールが大好きだが、その裏側では、ある程度の厳しい審査がサッカー選手にも設けられていることは知らなかった、恐らく多くの人間がそうだ。
今回の離脱は、EUに入った異国民が移動の自由の権利を行使し、それがイギリス自国民の権利を侵害するという点もあり国民は反対に票を投じた、という見方もあるが、それはEUの中にあるイギリスだからこそで、上記のVISA申請やプレミアリーグの件からしても、イギリスが移住者に対して決してやさしい国ではない側面があることは見て取れる。
日本企業がイギリスから撤退し、ドイツや欧州のその他の国へ本拠地を置く流れが続く中、最近はメイ首相が日本を公式訪問し離脱の懸念を払しょくしや貿易関係の強化と交渉が取りざたされていたが、イギリス離れが続くとこれまで執っていた方針も転換する可能性が出てくる。
前述のサッカー選手等の入国を厳しくし過ぎてしまうと、イギリスの落ちるはずのお金がどこか他国へ向かうからだ、日本企業がドイツに本拠地を置いたように。
かといって、条件を緩和すると移民と難民問題が噴出し、最悪のケースだとテロに発展してしまう。
交渉事が難航しているのは法的な部分や経済と金融での問題もあるが、あちらを立てればこちらが立たずの状況でがんじがらめになっているのだろう。
日本で報道されるイギリスのドキュメンタリー番組としては、疲弊した地方都市で麻薬と酒に溺れる若者と、同国における経済格差などが取りざたされるが、それでもかつての世界覇権国家を目指す人間は毎年後を絶たない、日本国民も大勢いる。
いずれにしろ、移民対策がいい加減で、移住者にはかなり緩い国だと思っていたが、サッカーの件だけを見ても少なくともそうではないようだ。