アメリカの麻薬ドラマで社会問題と経済側面が見える

21世紀を代表する、テレビドラマとして世界中に衝撃をもたらした作品、ブレイキングバッド。


breakingbad.jp



余命宣告された50を迎える高校教師が、残された家族のために覚醒剤を製造し、密売するという内容。


同じくアメリカで人気のドラマ。


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突然の夫の死で未亡人となった子持ちの主婦ナンシー。郊外の快適な暮らしを続けるため、始めたビジネスは何とマリファナの密売...


どちらもアメリカの中流家庭に属する家族にスポットをあて、近年、その中流層の没落により貧困含め様々な問題が噴出する同国において、麻薬によって生計を立てること、また常に麻薬と隣同士にある人間模様を描いている点が共通している。

そのアメリカは現在、鎮痛剤中毒による死者が年間数万人を越えており、これが新たな社会問題となっている。


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背景にあるのは、トランプ大統領が誕生した要因とも言える、貧しい白人層、そして急速な経済成長を遂げた中国からの薬品流入だ。

没落した、かつての中流の、白人層と、薬物は、近年のアメリカの経済構造とは切り離せない問題なのだろう。


中流層の没落という点では日本もアメリカと共通している点は少なからずあるだろうが、この手のドラマや映画含めたカルチャーが台頭してこないのは不思議だ。

単純に過激すぎて放送出来ないというのが理由かもしれないが。

アメリカはどのような方向性に向かっていくのか常にトランプ大統領に注目が集まり、表向きの経済や防衛面のみならず、急速に経済成長し続けその影響力も無視できない中国との関係も重要視される一方、国内のこうした薬物問題についても、もはや国内だけで収まるものではなくなってきている。


だが、日本と決定的に違うのは、

若年層の人口増加
ITベンチャーの土壌

この二点だ。

世界的なイノベーションは国力が落ちたとはいえ今もアメリカから生まれるし、日本のように若年層の人口が高齢者を下回る傾向にあるわけでもない。

国際的な影響力もまだまだ高い。

問題を抱える中でも、希望の光が少なからずある、といえる。

そんなことをテレビドラマひとつとっても作品から垣間見ることができるのは、これはまさにアメリカの懐の広さなのだろうか。


経済的には立ち行かない面もあるのだろうが、この手の社会性ドラマはアメリカが一番面白いのかもしれない。