チャーリーチャップリンはやはり偉かった
Life can be wonderful if you’re not afraid of it. All it takes is courage, imagination... and a little dough.
人生は恐れなければとても素晴らしいものだ。人生に必要なもの、それは勇気と想像力、そして少しのお金だ。
これは、チャーリー・チャップリンが遺した数々の言葉において最も有名な言葉かもしれない。
夢と勇気とサムマネー、とか、愛と勇気とサムマネーだとか、日本語訳は様々な形で出回っているがいずれにしろ、彼が言いたいことは誰もが分かっていると思う。
この、サムマネーとした点にチャップリンの人生に対する考え方が表れているように思われる。
僕は金持ちになったことはないし、金持ち一家に生まれた訳ではないので分からないが、ある程度の情報を集めてみるといわゆる裕福な人間というのは必ずしも幸せではない、という見解があるらしいことが分かった。
あまりに多くのお金を持っていると、家族やその他の人間関係がおかしくなるのは否めず、それ程でもないお金に対しても、その保有している富に対してそのおこぼれに預かろうとする人間の多さ故に、広がると思われた選択肢も狭まり、以外にも不自由になるらしい。
「試してみないより試して失敗するほうがいい」ということわざがある。
だが、金持ちになることについて、このことばはまちがいだ。
大まちがいだ。
-中略-
たくさんの金を儲けるのは、船をあやつるのに似ている。
人として扱われなくなり、金塊をめいっぱい積んだ船となる。
まわりの人が欲しがるのは積み荷の金であり、そのためならどんなことでもする。
あなたは、そのうち、積み荷満載のガリオン船船長として、焼かれたり沈められたりしないように気を付けなければならなくなる。
-RICHより-
また、今から十数年前に耐震偽装問題で日本中を騒がせた、あの不動産デベロッパー会社ヒューザー元社長である小嶋進氏。
学歴こそ高卒だがその詳細を不動産ビジネスいかんなく発揮し、当時の資産は数十億ともされていたようだが、小嶋氏は、取材をうけ以下コメントを残している。
もう時効だからいっちゃうけど、銀座のクラブでカネを燃やしたことがあるよ(笑い)。
結局、お前たちが欲しいのはカネかと。
なんか悲しくなってしまってね、涙を流しながら、こんなにカネがあるからよくないんだと。
嫌いなものは女、酒、カネといって、札にウィスキーかけて燃やした。もっともあれ以降は、女性たちもいなくなってしまったけどね。
もちろん、全てのお金持ちがそうだとはいわない、個人的には、持たざる者の方が幸福度は低いと思う。
僕は、今日のパンを買うお金が無い、という悲惨な状況も目にしてきたし、どちらかというとその方が悲惨過ぎて、金を持っている方に天秤が傾かざるを得ない、この世において金が無い、というのは本当に残酷だからだ。
だから、チャーリー・チャップリンは偉かったのだ。
little dough
「サムマネー」と訳される、 "little dough." は、一かけらのパンであり、それは今でいういくらかのお金、という表現になるらしいが、沢山のお金を指している訳ではないことは間違いなく、お金はいらない、としているわけでもない。
チャーリー・チャップリンの言葉がいつまでも残り続けている理由がここにあるのだと思う。
例えば僕の二回り近く年上の知人。
彼は数年前にやっと昇進し収入もある程度増えたものの、仕事なんかかなりいい加減で遅刻も結構するらしく、とはいえ上からの評判は悪くないようだし、子供との関係も良好で、たくさんの友人に囲まれながら若いふりしてインスタグラムを熱心にやっている。
何が言いたいかというと全力で人生を愉しんでいる。
金がある人を羨んだりしない、むしろ上手に驕られたりして他人の金で遊ぶことに長けている。
自分の人生に満足しているのがはたから見ていても良く分かるのだ。
僕にとってこれは非常に考えさせられる光景だ。
こと金に関しては「あればあるほどいい」という思考が強いためまだ答えは出ないが、そこに振り回され過ぎると人生を見失うという点はあると思う。