スタートラインからして持っているモノが違う

僕の周りにはいわゆる親が経営者や大学教授といった、比較的裕福な家庭に生まれた知人が割と多い。

 

見ていると思うのは、例えば経営者の息子などは10代から20代前半くらいまでは、

 

「親のしいたレールを歩きたくない」

 

とか

 

「親の会社なんて継ぎたくない」

 

等とほざいていたが、30台前後くらいには見事なまでに親の作った会社の要職に収まっている。

 

僕は不動産業界こそが自分の生涯を賭ける仕事だと思っていて、この業界にもやはりその手の人間が多い。

 

例えば不動産会社を小さい単位や個人事業主として経営するのだと、宅地建物取引士の資格は経営者としては必須。

 

「免許を持っている人間を雇えば良い」というのは、ある程度の資本があったり言葉だけで簡単に言っているだけのことで、殆どのケースは経営者自身が免許を持っていないと、経営の指揮を執る側としては苦労するのだ。

 

だがそれでも、親の世代で作り上げた会社と取引先と人脈と、そして昔からの固定客がついているケースがあったり、なおかつ自社ビルや自社保有のアパート等を保有していることもざらで、そういう場合は子供がどんなにぼんくらでも会社はやっていける。

 

実際そういうケースを目にしたが、自社物件を持っていたり固定客がいたりすると、親から継いだ経営者がどんなに無能でも
毎月固定収入が寝ていても入ってくるから、容易には会社は倒れない。


最近、例えばヤフーニュース等でも若くしてホテルを経営しているだとかなんとか話題を呼んでいたものがあったが、あれ等は典型的なケースで、どこの世界に最初から資本も何もかも持っている若い人間がいるというのだ。

ホテルなどは資本力が無ければ経営できない、し、会社を作ることすら困難で、何も持たない若者に等誰も金を貸さない。

 

つまり、そのお金は親から出ているのだ。

 


最近、飲食店経営をしていた人からこんな話を聞いた。

飲食店というのはとにかくキャッシュがいる商売で、例えば最初の3年間を持たせれば、そこからは順調に事業として伸びていくはずの店が、資本力が無いために廃業せざるを得ないケースが結構あるらしい。

だから、とにかく資本を三年分何とか用意するのが大事なのだ、と。

 

夢や目標から飲食店経営が語られる中でなかなか現実的な内容だったが、これが、例えば "親" という強力な資本力がバックにあると、3年は持たせることが出来るし、そこから事業が伸びていくケースもあるだろう。


実際数年前にそのようなドキュメンタリー番組を見た事がある、実家が元々金持ちで、自分も飲食業を始めたらこれが当たった、というものだ。


僕の友人は、大学卒業後すぐに居酒屋に就職して寝る間も惜しまず働いて300万円を貯めた。

東京の一角に、 "卵の専門店を作る" という野望をもとに店をオープンさせた。
国民生活公庫から数百万を借りての船出だったが、6ヶ月くらいしか持たなかった。

友人は卵と鶏料理の専門店を作り、いずれは多店舗展開も視野に、と、毎日毎日働いていたが、駄目だった。

 

だが現在、卵と鶏料理の専門店はそこここにひしめいていて、僕の家から10分ほど離れたところにもその手の飲食店が出来ていて連日大盛況だ、営業終了前にソールドアウトするくらいの。

 

友人にもし、資本力があればこのような展開が現実のものとなったのではないか、と、どうしても思わずにはいられない。

 

僕は、親が金持ちじゃないから、親が権力者や有力者じゃないから、だから人生は多くの人生は駄目で巻き返しがキカナイといった、そんな下らない話をしている訳ではない。

 

親の資本力や影響力が、子供の人生にもかなりの頻度で大きな影響を及ぼすという事実を指摘している、それにようやく気付いたのだ。


スタートラインから持っているモノが違う中で何を武器にどの土俵で戦うのか、その戦略を早い段階で考えられた人間は、ゲームの大富豪のように平民に上がれる可能性も高く、平民からは富豪も見えてくる。

 

だがそれは全体の中でも稀なケースだろう。