期待よりも不安が上回ってしまうと、不安障害になる

不安障害は、今や誰もが憂慮すべき現代病。

昨年12月に行われた、世界クラブ杯の決勝戦鹿島アントラーズレアルマドリーにおいて、その才能を世界に知らしめた柴崎岳選手。


hungoveray.hatenablog.com


念願のスペイン移籍を果たすも、現地生活に慣れずに不安障害に患っていたようだ。


www.asagei.com


こういう話は尾ひれがつくので事の真意は定かではないが、不安障害に苦しむ人間は多い。

柴崎岳選手以外でも、例えば引退したアスリートが次のキャリアがなかなか構築出来ず、収入の目処が立たない不安から心のバランスを崩してしまい、不安障害となるケースもあるようだ。

3月と4月というのは、まさに出会いと別れの時期であり、学生は社会に出て、時には慣れ親しんだ土地を離れて働き、既に働いている人も異動などで別の地に赴くこともある。

物事が否応なしに変わるため、これまでの環境に大きな変化が訪れることは間違いない。

自己啓発等ではよく、自分を変えるための3つの方法として

付き合う人間を変える
住む場所を変える
時間配分を変える

といったものが挙げられる。

変化そのものについて、それらを受け入れ積極的に自らに変革をもたらそう、これまで手に持っていたものを捨てて、新しいものを手にしよう、というような、自己啓発にはそんなポジティブなメッセージが込められている。

自分を取り巻く物事の歯車が上手く回っているうちはまだ良い。

ただ、上述の柴崎岳選手のように新天地へ繰り出すことによる、「期待よりも不安が上回ってしまった」場合が問題だ。

今や心と身体は一体であるという考え方は科学的根拠からも明らかにされており、また、僕が思うに変化が訪れた時の適応力のようなものは、かなりの個人差があると感じるし、変革のための3つの変化が同時に起きると、それが急激であればあるほど心身ともに支障をきたしてしまう人間がいることも頷ける。

せっかくの才能も、新天地で発揮できないのでは宝の持ち腐れであり、自身のみならず周りにとってもマイナス面が大きくなる。

僕も20代に地方から東京に出て働いたことがあって、特に才能があるわけではなく、否応なしに訪れる変化に「適応出来て」いたように見えていただけだが、それも最初だけ。
実際には、若さがもたらす無謀さや行き場の無いエネルギーがあったからこそ何とかなったわけで。

今同じことするのは、どうしても躊躇してしまう。

自分の限界を越えて取り組んだ事による、反動を恐れているからだ。

とはいえ、日本全体が閉塞感に包まれ、経済も低成長が続く現代においては、誰もが自らの席を確保するため、自己研鑽は欠かせない。

そうなると、自らの成長を促すために自分自身で変化を仕掛け、変革をもたらす事そのものも避けられない。


「自ら機会をもたらし、その機会によって自らを変えよ」


この言葉通り、機会を常に探らなければ、そして危険をおかさなければ席を確保するのは難しい。

では、機会を作り出し、変化を起こし、自らにポジティブな変革をもたらす場合において、不安障害に代表されるように心身ともに支障をきたさぬようにするため、我々が出来ることは何か。

僕自身が強く実感している点を挙げていく。

1つは、孤立しないこと。

人間は恐らく、不安、恐怖、貧困や病気等よりも、物理的な孤独感から絶望的に悲観してしまうことが多い。

なので、とにかく人と繋がること。
ただ食事をするだけ、お茶を飲むだけ、下らない下ネタを話すだけ、といったものでも良い。

Pha氏も言っているが、緩く繋がるだけでも助けられている側面はあるのは否めない。


2つめには睡眠。

前にこのブログでも書いたが、睡眠時間が短いと(ショートスリーパーも中にはいるが)、どうしても構造的に人生に対して悲観的になるし、そこに仕事のストレスや肉体的な疲れがのし掛かると、これは致命的。

hungoveray.hatenablog.com


そんなときに酒でも飲みながらCoccoの曲など流してしまうと、もう自殺まっしぐらだ。

猫か犬かは忘れたが、大きな怪我をすると暫くの間姿を見せないらしい。

何をしているかというと、ひたすら寝ているようだ。

つまり、寝て怪我を治す。

我々も動物なのだから、寝て心と身体を治すのは基本だと思う。

実際あまりにも疲れた日に10時間くらい寝ると、物凄く気持ちが楽になった経験がある。


3つめは、食事だ。

心の問題は脳が作り出していることは科学的根拠で明らかなので、脳に栄養を送る意味で、食事は必要不可欠。

何を食べた方が良い、という健康志向に僕はあまり重きを置かない。
その時に食べたいものを食べるのが一番だ。
なぜなら、人生に絶望して疲れはてているときに、安さにまかせて賞味期限間近の、大して美味しくもないおにぎりで済ませたら、余計に心が折れてしまう。

それでも食べないよりはましで、ただ出来るだけ栄養価が高くて、旨い食べ物が良い。

むかし東京で幾つも仕事を掛け持ちしている中国人と親しくしていたが、短い睡眠時間で多くの活動をこなしていた彼は、本当に良く食べた。

今は亡き水木しげる氏は、戦争で片腕を無くして苦しい時代を生き抜いたが、氏もとにかく良く食べて良く寝たようだ。


4つめは、積極的に助けを求めること。

メンタルクリニックやカウンセラーにかかることについて抵抗がある人も多いようだが、少なくとも健康的になれるのであれば、手段は選ばず活用するべきだ。

薬も比較的軽いものもあるし、個人の症状に合わせて処方してもらえる。



柴崎岳選手も、今は持ち直し、これから新シーズンをむかえるところだが。


headlines.yahoo.co.jp


不安障害の対策として上記4つ以外で、挑戦、変化、変革、機会において、僕自身が大事にしていることは、「無理をしない」こと。

挑戦と変化と変革、そして機会は本来はポジティブなものだが、やはり本人の限界を大きく越えている場合は、その反動もそれだけ大きくなる。

反動も含めて挑戦していくべきで、そこで折れてしまうようならやるべきではなかったという結果になる。

限界を越えない、という意味ではなく、限界を大きく越えないこと。

ちょっとでも良いから限界を、自分の無理の無い範囲で越えていくことを繰り返していけば、時間はかかっても遠くへ行けるからだ。