大企業病のようなものは、トップダウン型経営で解決するのだろうか

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シャープ

 

連日、株価が上昇。

目先のニュース、株価の材料は明るいものばかりだ。

 

昨年、鴻海精密からの出資が完了すると、現社長、カクタイメイ氏の右腕でもある戴正呉氏は自身の直下に「社長室」を新設し、それ以外は部長や参事など役職を全て廃止。
全ての事業部を自身の目が届く、トップダウン型組織作りに転換した。

 

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その効果は一目瞭然、1年足らずで赤字脱却、黒字転換、そして東証一部に返り咲きの報道まで。
繰り返すが、まだ1年もたっていない。

 

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大企業病

大きくなりすぎて、一つの会社なのに部門ごとに違う会社の人間を見るようなふるまい、そこから生まれる縦割り組織の弊害、そして意思決定の遅さ。

 

そういった事が業績不振に陥っている企業の理由の一つであり、それで十分に機能し、利益が出ているうちはまだいいが、赤字に転落し、銀行も金を貸さず、手元現金に乏しい場合は、当事者能力を失ってしまい、自ら組織を改編する力も持たない。


サラリーマン勤めの人間なら分かるが、例えば、稟議書や、何か企画を通す時に、あの、間に入る人間の鬱陶しさ。
上司は選べないので仕方がないが、まずは無能な上司を説得しなければならないという不要なプロセス。

それは悪しき習慣、というべきものであることは、シャープの今の業績を見れば一目瞭然。

 

外資に買収されてしまった結果は、日本国経済の没落という点では憂慮すべきところではあるものの、またトップダウン型経営はとかく「独裁」と批判されがちではあるが、上述のシャープのような業績不振企業の立て直しとなると、局面によってはプラス側面が大きく活かされるという点は否めない。

 

また、シャープでは信賞必罰、すなわち高いパフォーマンスを上げた社員には、高い報酬を与えるというやり方を取っているが、この手法の真価が問われるのはこれからであり、結果が出るのもそう遠くはない。

 

www.asahi.com

 


一方で不思議なのは、足元の業績が割りと好調で、とはいえ社員数が大企業には遠く及ばない中小企業において、役職や肩書きのついている者が多いケース。

シャープの場合と逆だ。



具体的には、幹部と末端社員含め50名にも満たない株式会社で、社長、常務、取締役、相談役、次長、部長、副部長、課長、係長、そして主任といったもの。

何も肩書きがないのは、入社したばかりの社員のみ。


それくらいの規模の会社の持ち味はトップダウンのスピード経営なはずだが、何かを企画するときに稟議にかけることもある。


本当のところの理由は分からないが、むかし勤めていた会社の経営者は、「社員に働くステータスを感じてもらえる規模の会社にしたい」と話していたので、もしかすると、ゼロから一代で築き上げた創業者は、その子供のような会社を「ドレスアップ」したがる傾向にあるのかもしれない。


とかく、持ち味をころしがちな、大企業のような組織作りをしたがる。


中小企業の方でも割りと規模が大きい会社でも、更に役職数やポストを創設するところもあって、

『副部長待遇』とか、『部長同等』という、意味不明の記載がある名刺を受け取ったことがある。


噴飯ものだが、当の本人は大真面目だし、会社としても長年勤めてきた人間に対しての処遇も設けなければならない苦肉の策なのだろう。


日本型経営は時代によって批判や称賛の対象になり、また企業の在り方そのものも過渡期に差し掛かっていて、万能に通ずる解決策はまだ見当たらないが、信賞必罰とトップダウン型経営が必要なケースは無くなりそうもない。


目に見えて結果が現れやすいからだ。