HIVの構図には変化がみられる

昨年の10月に、HIV患者含む多くの人間に吉報がもたらされた。


新たな治療法でHIVウイルスの完全除去に成功 英国の研究チームが発表

 

news.livedoor.com


だが、HIV撲滅にはまだまだ道のりは遠く、感染者とその周囲の人間との共存関係も問題が多い。

 

HIVそのものはひところに比べて話題に挙がることも少なくなったが、アメリカでは1日137人のHIV患者が生まれている。

 

 

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日本に関していえば、先進国で唯一その感染者が増え続けている。

 

HIVの感染経路として最も多いのは、その血液から、というのは周知の事実だが、実際の感染者数が最も多い要因というのは、性行為による感染だという事が大きな問題点である。

 

はじめてその感染者が表面化した時代には、偏見からゲイ等の同性愛者がそのHIV感染者の殆どだと言われ、実際に肛門性行は通常の性行為に比べ感染する確率が高まる(肛門の皮膚は薄いため傷がつきやすく血液による感染が高まると言われている)されていたものの、当然ながらそれだけが理由で感染しているわけではなく、例えば性風俗従業者とその顧客との間にも発症するリスクがある。

 

僕がHIVに関して、感染者の話を実際に聞くこと出来たのは今から10年近く前。
その方もやはりゲイだったが、自身はHAARTによる治療でエイズを発症せることなく、これまでと何ら変わりない生活を享受できること、そして今となっては普通の寿命と変わらないくらいに生きられるようになったことから、「住宅ローンはどうするのか、といったそういう話をする時代なった」と笑顔で話した。


だが、あれから大分時間は経つが、人類はいまだにこの病気を撲滅できていない。

 

とはいえ、人類の性行為は、非常に重要かつ大事な問題だ。

撲滅までは程遠いのならば、HIVとうまく付き合っていく方法を見出さなければならない。

 

僕は全く知らなかったのだが、HIV陽性者と陰性者との間での安全な性行為を実現するために、PrEPという予防方法がとられ注目を集めているようだ。

TRUVADAという薬を服用することでHIV感染へのリスクを低減させるというもの。

 

PrEP(Pre-Exposure Prophylaxis)とは何ですか?
PrEP(Pre-Exposure Prophylaxis)は、
 日本語で「暴露前予防(ばくろまえよぼう)」と言います。

 

www.std-lab.jp

 

TRUVADAとは何ですか?
TRUVADAは、2つの異なる方法で使用される処方薬です:
•  体重が少なくとも35kg(77ポンド)の人でHIV-1感染症を治療する 。  TRUVADAは、 HIV-1感染症の治療に使用される場合、他のHIV-1薬と一緒に使用されます。
•  安全なセックスプラクティスと一緒に使用するとHIV-1感染リスクを軽減するのに役立ちます。  この使用は、 HIV-1を摂取するリスクの高い成人にのみ適用されます。  これには、男性と性行為をし、 HIV-1に性感染している危険性の高いHIV陰性の男性と、 HIV-1を持っている男性の女性パートナーとHIV-1を持っていない女性のセックスパートナーが含まれます。

 

www.truvada.com

  

アメリカのFDAという食品医薬品局で認可され、既に多くの方が服用しているとのことだが。


その事で、HIVを取り巻く様々な動きにも変化が出ている。

これはではコンドームを正しく使用して感染を防ごうというキャンペーンとその一辺倒の動きが殆どだったように少なくとも僕には感じられたが、

 

 

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BDSM愛好家

BDSM

BDSM - Wikipedia

 

 

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TRUVADAを服用し、望む性生活を手に入れたゲイカップル

 

 

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TRUVADA推奨者


そして、TRUVADAの副作用と、その高額な点から裕福な白人層にしか行き届いておらず有色人種や貧しいヒスパニックはそのメリットは享受できない、という問題点を挙げて古くからのコンドームによる感染防止を防ぐ活動家、と、アメリカらしい構造の変化が見られた。

 

この手の話題は、どうしてもゲイとその性行為が切り離せないが、ゲイの方は僕が思っているよりもずっと繊細で、傷つきやすい一面があると思う。

 

それだけに性行為とその影響は彼らにとってはかなり大きな問題で、まだまだ議論されることだろう。
だが、そうすることによってHIVへの理解と感染者数の軽減、少なくとも増加にはSTOPがかかる、比較的ポジティブな流れだと思う。

 

日本は先進国で唯一、HIV感染者が増加していると前述したが、これは憂慮すべき問題であり、HIVに限らず、今では忘れ去られつつある梅毒といった性感染症も若い世代で増加傾向にあるようだ。

 

もっと日本でも議論されてほしい。

確かに目を向けたくない問題ではあるが、これだけ性行為に関するハードルが下がった時代では、誰もが感染リスクをゼロには出来ないのだから。


それに、感染してもしなくても、HIVを取り巻く人生において、選択肢の幅が広がることは、それだけ自ら命を絶つ人が少なくなることを意味するのだし。