パン食い競走で勝とうとせず、新しい道を探す
村上龍氏がワタミの渡辺美樹氏とカンブリア宮殿で対談したときのことが話題となった事があり、その時の状況について村上氏も自身の動画であるRVR龍言飛語で語っている。
渡辺美樹氏のことよりも、村上龍氏が語った、過去に自身が読んだ一コマ漫画のパン食い競争の話が頭に残った。
(以下テキスト調で記しました)
ちっちゃいころ見たんだけど。(一コマ漫画を)
あの、パン食い競争のスタートなんだよ。(向こうにパンがあって)
で、ひとり、バターを持っている奴がいるんだよ。
俺その漫画が凄い好きで、どういうことかっていうと、そいつ、パン食い競争に勝とうと思ってないの。
競争に。
あそこにあるパンを、より美味しく食べようと思ってるのよ。
できたら。
僕自身もそういうのが好きだなって。
下らない話だ、と、聞き流すことは出来ない内容だ。
ある程度の年齢になるとどこに行っても比較と競争が始まり、それは分野によっては熾烈な戦いとなる。
常に競争を強いられると疲れるし、好んで飛び込んでいっているのならばまだしも、仕方がないから、他に選択肢が無いから(無いと思っているから)参加しなきゃいけない、みたいな傾向がまだ強かったりする。
「社会が得意な人が社会を回せばいい」
みたいなことを発言した漫画家がいるが、それはやはり一理ある。
村上龍氏も話していたが、出来ないことは出来ないし、やっぱり無理なことはある。
頑張ればある程度は出来るようになるかもしれないが、それでも無理をしているから苦しいし、爆発につながる可能性もある。
そうなると、別の道や別の生き方を模索する必要があって、それが出来なかったり、そこまで思考が及ばないくらい、競争に追い込まれてしまうと(勝とうが負けようが)、結果、この世から逃げ出してしまうことにもなりかねない。
堺の豪商として名の知れた、歴史の教科書でも登場する千利休は、秀吉のいいなりになって命拾いをするか、逆らって殺されるかの選択を迫られ、後者を選んで自ら命を捨てた。(これには諸説あるようですが)
一方で、千利休と同様の選択を迫られた、豪商のルソン助左衛門という人物がいる。
ルソンは秀吉のいいなりになるのでなく、命を捨てるでもなく、海外へ脱出して新天地に生きるという選択を取った。
今と当時では海外に転出する意味合いは全く違うので、かなり大胆かつ斬新な選択だったはずだ。
現代に生きる僕自身、常に第三の道を探していて、毎日のように掲載される会社幹部からの営業成績表を見るたびにウンザリする。
そこにいる限りは一生ついて回る。
パン食い競争で勝とうとせず、美味しく食べる道、それは必ずあるはずなので諦めずに見つける必要がある。
見つけられた人間がもっともっと増えてくると、日本もまた変わってくるはずだ。
こんなふうに。