聞いてみないと分からないこともある

僕の住む街の市内に、営業時間中、殆どの時間帯に外国人観光客の行列が出来るラーメン屋がある。

買い物途中でその道を通ると、必ずと言って良いほどに行列が出来ている。

確かに九州では有名なラーメン屋のチェーン店だが、僕も食べたことがあるものの味の記憶はもうない。 

まずいとか旨いとか、覚えていないのだ。

その店は以前こそ地元客が訪れる店だったが、ある時を境に、外国人観光客がかなり増加した。

なぜ増加したのか。

何人が多いのか。

謎のベールに包まれてきたものの、にわかに地元民の間で囁かれてきたのは、その外国人観光客の正体は台湾人だというもの。

「台湾で有名なブロガーがこのラーメン屋の記事を書いて、それを読んだ人が来店している」

僕の知人の台湾人の友人がそう語っていたそうで、それを聞いてなるほどなーと、その意見が全てだと思っていた。


ちなみに味はふつうだったようだ。


僕は、こういう気になることがあったら直接確かめずにはいられない質で、実際に行列に並び、彼等に話しかけてみることにした。

台湾の言葉は分からないが、アプリで会話をすることにした。

まず、一番初めに話しかけたのは若い男女カップルの男性。(女性に話しかけるとトラブルのもとになるとおもって)


「台湾人ですか」

という言葉を中国語に変換して話しかけてみると、なぜか通じない。

あれ?と動揺した僕に男性は笑顔で、「あ、私は韓国人です」と答えてくれた。

まず、一つめの定説とされていた、「行列の全ては台湾人」という説が崩れた。

実際、その時間帯の行列は、台湾人と韓国人が半々だったのだ。

色々と聞いてみると男性は日本語が話せるらしく、このラーメン屋は韓国旅行客が帰国後に書いたブログで知ったということを話してくれた。

他にも、カレーやステーキを食べたこと、屋台の何か分からない食べ物も食べたが旨かったこと、そして、旅行プランとしてはその地元ではオーソドックスな観光名所を回る予定だということまで教えてくれた。

次に話しかけたのは台湾人で、家族連れの男性で、この男性もブログやガイドブックで見たわけではないと話していた。

Googleで見たんだ」

どうやら、拉麺と検索するとこの店が一番上に出てくるらしい。


今回はたった二組にしかヒアリングしていないが、恐らく来店動機は様々だろうし、単純にひとつの理由ではくくれないはず。

いずれにしろ、こういうヒアリングをやっている人間を見たことがないから、意外にこういうちょっとしたことから起業のアイデアに繋がったりするのかも知れないと、そう思った。