見た目でクラクションを鳴らしてる

車を運転することが多いのだが、僕はどうもクラクションを鳴らされる頻度が多い。


今日の朝もタクシーの運転手に、真横から鳴らされた、確かにどちらかといえば譲らなかった僕は優しさに欠けるかもしれないが交通違反はしていない。

タクシーの運転手は両手を上げて、「譲らないあんたは人としてどうなの」くらいに、 "おお、神よ" のジェスチャーでこちらを見ていた。

僕は日頃タクシー運転手のマナーの悪さに辟易しているので、(もちろん全てではない)謝らず、悪びれることもなく、あの、欧米人がよくやる、両手の平を上にあげて 


"さあ?" ┐('~`)┌


のポーズを返して無視していたが。


ここで僕の運転マナーが飛び抜けて悪いわけではないことを前提として言っておきたい。


まず、トロトロ運転はしない、割り込みのような無理な車線変更もしない。

前方車両を煽るような真似もしない。

クラクションを鳴らすなどは論外、よっぽどでないと鳴らさない、あの音は鳴らす側からしても不快だからだ。


とはいえこれらは主観であり、何かしら僕の運転が至らないから、クラクションは鳴らされるのだろう。


だが、今日の朝見かけた他の車の運転は凄まじかった。

急いでいるのか無理な車線変更をする車両は多々あったし、僕なんか路線バスに無理矢理こじ開ける形で2台も侵入された、彼等は会社の看板を背負って運転しているはずだがマナーなんてまるでお構い無し。

あまりにマナーが悪いので他の軽自動車がけたたましくクラクションを、


 "ビーッッ" 


と鳴らす始末。

正に交通戦争という言葉がぴったりな朝だったが、僕は平気だった。

朝からクラクションを鳴らす世の中と人間はイカれていると、もうとっくの昔に受け入れていたので。


だが半面思うのは、クラクションを鳴らしたタクシー運転手等は、僕が黒塗りのベンツに乗ったスキンヘッドの男なら、まずクラクションは鳴らさないだろうなーということ。

バスに向かってけたたましくクラクションを鳴らした軽自動車の持ち主にもそれは言えるし、もっと言えば、バスだってスキンヘッドの男性が乗る黒塗りのベンツには無理矢理割り込まないだろう。

つまり、人を見て、彼等は自分の欲求を満たしているのだ。


「こいつなら大丈夫」

「こいつなら何か言ってきたところで勝てる」


と。


学生だった頃は、ガソリンスタンドで気付かずにこちらが割り込みをしてしまったときは、一回り近く上の男性が車から出てきて怒鳴り付けてきた。

もちろん僕が悪いので心から謝罪し、すぐにその場を離れたが、これがスキンヘッドの男なら、同じように怒鳴っただろうか?
と、当時も疑問に思っていたことを覚えている。

つまるところ、


「人は見た目が⭕割」


というのは本当なのだ。

だが、自分よりも弱いと感じるものを攻撃するような、そんな心理がかいまみえると、人間って本当に嫌らしいなーと思う。

考えてみれば、自分より弱いものに闘いをしかけるという、その構図自体は当たり前なのだが、


"弱いものいじめは良くない"


と言われて育てられた僕としては違和感が残る。


強きをくじき、弱きを助ける、というあれだ。


一時期、僕の上司が黒塗りのベンツに乗っていたが、上司は見た目もかなりゴツいこともあり、誰も無理矢理割り込みをしないどころかムシロ譲られることが多かったようだ。

無論、クラクションなんて皆無。


世の中には強きものをくじける人間など存在しないのだ。


僕がクラクションに対抗するには、スキンヘッドにするか、例えば見た目をノー面にするとか過激に見せるか、車を変えるとか、そういったことを実行する必要があるのだろう。