あなたの魂は○○です

僕の周りには驚くほどに迷信深い人間が多い。

 

「占い師にこの日は駄目だと言われたから結婚式は延期した(または早めた)」

「亡くなったあの人が、"あなたのことを心配している"といわれた」

「北の方角に今日は行ってはいけない」

 

その他ぶらぶらぶら。

 

この前も、僕の知人が占い師見習いのような人間に、「あなたの魂は祖父母の元にいっている」と言われたそうだ。

 

一体どういうつもりで、占い師もどき氏がそう発言したのかは分からないが、言われた方は決して気持ちいいものではない、まるで死を宣告されたような気分だ。

 

いずれにしろ、根拠のないことを真に受ける方も問題だが、そういう発言を無責任に発信する人間もいかがなものかと思う。

 

不安を煽るような発言をする人間は大抵、マイナスの言葉を自分以外の他者に向かって発信する。

 

人間は他者とコミュニケーションする時、大抵は自分の、しかもポジティブな話をしたがるものだが、この手の人間は必ずといって良い程、ネガティブな話を、他者に向かってする。

その多くは、上述のような霊的なものやスピリチュアルがらみ。

 

それは、最終的には自分の利益になるからだ。

と、僕は思っている。

 

信仰や霊的なモノ、スピリチュアルな存在を信じる人たちを否定する気はないが、むやみやたらに他者の不安をあおり、お金に繋げる者たちの実に多いこと。

そういう類の話は、その内容を信じる人たち同士でやっていただいて、こっちを巻き込まないで欲しい。

 

 

僕はその手の話はノータッチだが、徹底した唯物論者という訳でもない。

 

唯物論といえば、ナニワ金融道で有名な青木雄二氏は、根っからの唯物論者で自身もその事を公言し著書でもマルクス主義を標榜するなど、信仰に対して批判的な立場だった。

 

それでも売れっ子漫画家の青木氏のもとには取材依頼や番組出演オファーがひっきりなし届き、TVでも引っ張りだこで、やはりNHKからも出演依頼がきたらしく

 

「神はおらんと言わせてくれ」

 

と青木氏が出演条件を提示したところ、NHK側が拒否し、そのために出演が実現することはなかったという逸話がある。

 

彼を見ていると、人は何かを信じなくても生きることが出来るのだと感じさせる。

面白いおっさんだった。

 

そんな氏の作品では、宗教とマルチ商法、そして微妙な人間心理が非常に細かくかつ丹念に描かれており、ナニワ金融道にしても、庶民的な金融漫画としては相当に優れた内容だった。

 

また青木氏の作品で、何かしら企らんでいる登場人物が他者に向かって不安を煽るような発言をする時は、必ず、その企てた者の利益に繋がるような仕掛けがあった。

 

氏の作品は実際に現実に起きたことを描いているので、決して遠い国の話ではない。

だから絵が汚いにもかかわらずあれだけヒットしたのだろう。

 

いずれにしろ、「あなたの魂は○○です」と、むやみに不安を煽る輩は信用しないことだ。

 

最終的には金銭が発生する、上述の占い師もどき氏は、きちんと料金をもらう占い師になりたいのだろう。