ゲバラは世界で一番カッコよかった

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モーターサイクルダイアリーズ

 

 

若き日のチェ・ゲバラを描いた映画。
本名はエルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ。
「チェ」というのは、アルゼンチンの言葉で、親しみを込めて「ねえ」と相手に呼びかける言葉で、実際は彼の本名ではない。

 

革命家として有名なゲバラは、元々は医者を目指す優秀な医大生で比較的裕福な家に生まれた。

とある日、南米大陸への放浪の旅を決め、生まれ故郷であるアルゼンチンを出発。

 

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チリ、ペルー、ボリビアと各国を放浪し、その中で欧米国の資本による先住民への抑圧を目にし、次第に彼の中で正義感が生まれる。

 

単純に物語の内容を記すとこんなところだが、僕はこの映画をもう数え切れないくらい視聴している。

 

初めてこの映画を観たのは23歳の時。
丁度、このゲバラが旅に出るくらいの年齢だ。

20代前半というのは今思えば何事にも深刻で、自分は何者でこれからどうなっていくのか考えていく時期でもあったように思う。
そんな自分の意識をゲバラに投影し、この映画にのめり込んでいった。


映画に詳しい友人に言わせれば、「悪くはないんだけど、ゲバラじゃなくても別にいいんじゃないか」という感想。
この手の世界放浪青年青春映画はくさるほど存在するからだ。

 

確かにそうなのかもしれないが、とはいえ、こう何回も視聴を重ねると、やはり、ゲバラであったからこの映画は成り立ち、一人の偉大なる革命家の青年時代について描かれることそのものに意味がある。

 

「あの時代、チェ・ゲバラは世界で一番かっこよかった」

 

かつてビートルズのメンバーだった、ジョン・レノンも最大の賛辞でゲバラを称賛した、それくらいゲバラは輝いていた。

 

その青年時代は若さながらのまっすぐさと、生涯を通して喘息に悩まされた体の弱さ等、映画では一人の人間としてのゲバラ像が丁寧に描かれている。

 

ゲバラは20代前半に南米を放浪し、20代後半にはキューバの革命戦士としてカストロと行動を共にし、30代にはキューバの大臣にまで上り詰めた。
元々医師という事もあり博学で、一方では詩を好み、作家と対談もしている。

若き日も、ネルーダやロルカといった詩人の詩を引用し、日誌を記していたようだが、その様子も映画では描かれていた。

 

物語では共産主義についても触れられており、それは後にゲバラの思想をも形作るのだが、純粋なまでに世界を良くしたい、という思いで戦う姿は、やはり人間を魅了する何かがある。

 

一方で、ゲバラは20代の時から「銃なしには革命は成功しえない」と語り、武力なしには権力は転覆できないことを知っていた。
彼には裏切り者を処刑する、暗部の顔も存在する。

 

しかし、モーターサイクルダイアリーズではそういった点はまだ見られない、若き日の、ひたむきな顔だけだ。

とはいえ数あるゲバラ映画の中で、モーターサイクルダイアリーズだけが、今も心を惹かれ視聴し続けている作品。

この映画が好きな人も多い様だ。

 

恐らく、若い日のあの誰もが感じる、若さゆえの権力への反抗心のようなものをゲバラは純粋に持ち続け世界に対してそのままぶつかっていった姿そのものに、誰もが惹きつけられる魅力があったのだろう。


それは、キューバの大臣にのし上がる、ずっと前から彼が戦っていたことを意味する。

 

そんな意味では、モーターサイクルダイアリーズは、その他の世界放浪青春映画とは一線を画した内容、だと個人的には思う。

 

 

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