どこに住んでどのように働くのか
僕はいま地方に住んでいて、↑に書いてあることの幾つかを強く実感していることがある。
やはりまず地方だからといってそんなに家賃などは安くない。
今は不動産価格も値上がりしているので、例えば、「地方で家でも建てて、子育てしながら自分のペースで働きたい」といっても、今や地方でも中古マンション等は驚くような価格帯だし(もちろん場所による)、新築戸建てなんて高すぎて手が届かない。
食事も自炊はともかく、今や地方の外食レベルも相当な水準となっているので、ラーメン一杯の値段は優に1,000円近く達する。
そして上記のブログにあるようにインフラが整っていないから、どこかに行くためには車を手配しなければならず、購入しようものならその維持コストは更に生活を圧迫する。
それよりも何よりも、この、仕事の、無さ。
正確には、「生活を維持できるくらいの給与水準が得られる仕事」の無さ。
だが、地方は地方で良さもある。
例えばマイルドヤンキーに代表されるように、地元特有の結びつきの強さは、資本も地盤もない者たちの大きな助けになり、そこから生まれる事業などもあって、ちゃんと生活は成り立っていることもある。
それからやはり、子育て。
東京から僕の家の近くに移住してきた人と話したが、「東京はとても子育てなんかできない。電車の中でベビーカーに乗せた子供を乗車しようものならあの独特の監視社会の息苦しさには辟易する」といったエピーソードを聞き、地方に越してからは、子供も非常に伸び伸びと毎日を楽しんでいる、と話した。
とはいえ、彼のような人間はやはり多くない。
自身で会社を経営しており、時間とお金には余裕があるからだ。
ブラジルでオリンピックが開催されたとき、その裏で、治安の悪さから子育てを断念した夫婦が、日本の地方への移住を考えている、というニュースが流れた。
その夫婦もやはり自身の精肉店を経営しており、お金には余裕があったわけで。
勿論、それらを捨てて日本に訪れるという選択肢を考えているわけだが、人生の優先順位において、まずは子育てを一番に持ってきた結果だといえよう。
目的によってどこに住み、どう働くのか、その人間にとっての最善の選択は、その優先順位と人生において何を求めるのか、少なくとも今この時点で何を要求しているのか、それによって異なる。
何も持たない者が、ただ単に都会の生活に疲れただけで、地方に逃げてきても生活できずに結局逃げ帰るケースもあるので、安易に地方移住はおすすめできない。
とはいえ、人生一回しかないので、何もかも捨てて隠居生活をしてみたい、という人間には、やはり地方には、あの特有ののどかさはたまらないものがある。