何かをしながら日本語吹き替えで映画を観るくらいの忙しい時代

我々は大変忙しく、全ての事にスピードが求められる時代なので映画をじっくり観れる時間は殆ど取れない。

取れても日ごろの疲れで寝てしまう。

あるいは、何かしら手作業をしながら(例えば家事とか料理とかその他)でないとTVも観られない。

 

これが女性なら同時進行で複数の事が行えるが、男の脳は何かをしながら、もう一つ違う作業を行ったりすることが基本的には出来ない。

 

試しに、ゲイではない男性の同僚に、彼がメールを書いている最中に何か話しかけて見てほしい。
多くの場合、聞こえていない、聞こえていたとしても回答は難しいので、生返事しかよこさない、真面目な人は手を止めてこちらを見てくれる。
(僕の経験上、ゲイの人は一度に3つから5つくらいのことが出来るからこれに当てはまらない)

 

また、自分の場合に置き換えても、例えばサッカー中継に熱中している横から恋人に話しかけられ、ついつい怒りをぶつけてしまった経験を持っている男性もいるだろう。


とはいえ、これだけ煩雑な時代になると、スマホ片手に仕事、家事、恋人との愛の時間を過ごし、更には自分だけの余暇の時間も生み出すとなると到底無理だから、同時進行がどうしても必要だ。

 

娯楽として映画を楽しみたいなら、やはり重要になってくるのが、日本語吹き替え版だ。

僕も時間がふんだんにある時は字幕でしか観ない方だったから、日本語吹き替えのあの、変換のおかしさというか、オリジナルの言語の熱さが伝わらない感じが嫌だった。

 

でも、利点はある。

 

何かをしながらでも、日本語なら耳に入ってくるので、映画を中断することなく、しかもストーリーが途切れることなく頭の中に割としっかり入っていて最後まで観れる。

(人によっては練習が必要)

もちろん、感動のシーンでは、マンガを読みながらもこちらも涙を流すことが出来る。
エロ動画を観てオナニーをしながら、違う動画を観ることだって可能だ。

 

セックスにしたってそうだ。

男が懸命に腰を振っている下で、女がスマホを持って友人とラインしている時代だし。


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成功哲学の本が売れている今の時代、日本でもわずかながら音で試聴する自己啓発もまだ残っている。
アメリカでは、いまだに成功哲学のテープやCDが日本以上に販売されているようだが、それは何かを同時にすることが出来る、というビジネスパーソン向けの一面もあるのだろうが、どうやら字が読めない層が一定数存在することも理由らしい。

 

日本も学力のレベルは一部で低下がみられるので、もしかするとそういう層が日本語吹き替えを好んでみているのかもしれない。


だが、これだけ何もかもが便利になったのに時間がいつもなくて、もしかすると字が読めない人が一定数いる、というのはおかしな話だ。
本当は、必要なことを怠り、必要のないことをやっているだけなのだろう。


竹中直人のギャグではないが、泣きながら笑うような、忙しい人間が増えた。