紀州のドンファンと呼ばれた男
75歳。
いまだ性欲衰えずということで、1日に3回の性行為を精力的にこなす。
興味があってその著書を読んでみたが、
「ハッピー・オーラ、ハッピー・エレガント、ハッピー・ナイスボディ。
あなたとデートしたい、エッチしたい」
独特の口説き文句が披露されるものの、セックスの内容に関する描写は皆無で
殆どの内容は自身のたどった道を記したもの。
彼は学歴こそないが、コンドーム訪問販売というちょっとしたチャンスから身を起こし、金貸しで莫大な利益を得た、というのが大体の流れだと思う。
今の時代は分からないが、やはり古来から儲かるとされる金貸しの凄さを感じさせる。
忌み嫌われる職業だが、他に選択肢が無かったのだろうから、それを生かしたとしか言いようがない。
"資本家は嘘をつく"
"不言実行というフレーズを信用してはいけない"
"沈黙は金という言葉はとんでもない"
"実績をうまくアピールしてかなければ、出世など絶対できない"
独自の視点でその持論を展開したが。
資本家という表現と、"共産"について触れるところがあったので、今の時代にはちょっと珍しいなと感じ、ナニワ金融道の著者の青木雄二氏を思い出した。
マルクスの唯物論に傾倒し、作品の中でも随所にその表現が見受けられたものの、自身は資本主義社会で成功して大金を得たという同氏には、あの、独特の作風を描くネタ元がいたと言われていた。
もしかすると、そのネタ元は、この紀州のドンファンと呼ばれた男ではないだろうか。
ドンファンの本に出てくる金貸しに関する法律用語と、青木雄二の作品に出てくる用語はそのくらい類似していた。