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会社や社長に大幅な変革や職場環境改善を望むときは

人間は集まると強い。

 

僕がかつて年商10億円、50人程度の外食の中小企業に在職していたときのこと。


経営者は無論、会社の成長を望んでいたが、そこから更に大きな規模になるためには、幾つかの問題点を解決する必要があり、それらは、末端従業員と各店店長の不満ともリンクしていた。

 

経営者は優れたビジネスモデルで高収益の会社を創り上げてはいたものの、

典型的なピラミッド型組織で、下に行けば行くほど不満も高くて報酬は低く、
とはいえ、末端従業員がいなければ、会社にもお金が落ちないような飲食店だったため
モチベーションや報酬、キャリアアップの方向性が大きな課題になっていた。

 

末端従業員の給料と経営者の報酬の差は20倍。

このまま突き進めば、せっかく育てた人材がいつかずに流出してしまい、その利益にもひびが入ることは明白だった。

 

僕一人で訴えたところで、会社の成長は望んでいても、それが自身の利益を侵害されることを懸念していたことから、経営者が動くことはなかった。


ただ、従業員の不満も高まってきていたので、その解決と会社の発展を進めるべく、僕は一人ではなくて、全体に働きかけるようにした。


従業員の心をまとめるために、まず僕は、毎日全店舗に出掛けていって、裏方で皿洗いや、ごみ掃除など、彼等が嫌がるような仕事を率先して行い、一人一人に話しかけて心を開いてもらうよう努力した。

 

一番まとまってほしかったのは、口を閉ざしていた店長達だ。

末端従業員から店長になると、収入が一気に2倍に跳ね上がる。

 

「それくらい収入があるのだから」という引け目と、マネージメントがうまくいかない場合や経営者の意にそぐわない者は、容赦なく降格になる恐れから、店長達は言いたいことが言えずにいた。

 

そうした中でも根気よく語りかけ、このままではいけない、という気持ちが全体に生まれたタイミングを見計らい、僕は経営者と、店長全員を交えた会議の場を設けることに成功した。


今思えばそれは、労働組合を結成し、経営者と交渉をする、というそのシーンに酷似していた。


過去にはそうした試みを漏らす者がおり、うまくいかなかったこともあったようで、

経営者と従業員の間には深い溝と、互いに疑心暗鬼になってもいた。


僕は当時20代前半で、若さと勢いとひたむきで向こう見ずな正義感だけで突っ走っていたところもあり
結果を顧みずの上記のような行動を起こした。


そして、その結果は失敗だった。


まず、店長達は実際の会議で怖じ気づいてしまい、経営者を前に本音でモノが言えなかったことと、その会議の翌日、僕が職務権限を奪われてしまい、退職せざるを得なくなってしまったからだ。


同時、若いとはいえ、人事、財務、総務、経営、その他店舗運営に関する全般について、僕は経営者から権限の一部を委ねられていて、「君をそれらの職務からとく」と、通知を受けたのだ。


それは、何も仕事がないことを意味し、仕事がないのに会社にいることなんて出来ないから、実質的に退職に追い込まれたことにはなる。


それ以外にも様々なことがあり、後味の悪い最後ではあったが、全員で団結して、経営者と交渉する、という方法は非常に有効だ。


ただし、やるなら刺し違える覚悟が必要だ。


もっと賢い方法はあったかもしれないが、今となっては良い思い出だ。